先日パワハラの講習の際にハラスメント全般について話が及びました。その際に女性陣から特定の人の「距離が違い」との話がありました。複数の女子社員から同意があり対応する事態になりました。
性的な意図はなくても「距離が近い」はハラスメントに該当することを認識していない人は多くいます。パーソナルスペースについて話すと「考えたこともない」との回答でした。
この記事ではパーソナルスペースについて、さまざまなシーンで基準となる距離や会社の人間関係で適切とされる距離について解説します。
パーソナルスペースとは
パーソナルスペースとは、自分に他の人が近づくことを許せる限界の範囲です。医療関係においては、他人が侵入すると不快感や不安を感じる空間のことを指すようですが、通常の会社では他人に一定距離より近づかれたからといって「距離が近い」と感じても、即座に不快に感じたり、不安に思うことは少ないので問題に発展することは少ないのかなと感じますが、気を付けなければなりません。
パーソナルスペースは関係性ごとに定義があります。近いと感じる距離は相手との関係性によりますので、それぞれの定義と示される距離について知っておきましょう。
パーソナルスペースの種類
パーソナルスペースには相手の関係性を基準にした4つの区分があります。距離感覚ごとにわかれており、それぞれに呼び名があります。
密接距離
家族や恋人、子供を保護する際の距離で、0cm~45cmまでの距離感です。スキンシップや会話を交わすにもかなり近いと感じるような距離です。
個人距離
親しい友人などお互いの表情がわかる距離で、45cm~1m20㎝までの距離感です。手を伸ばせば触れる距離といえばイメージしやすいでしょう。
社会距離
仕事関係の同僚や上司との距離で、1m20㎝~3m50cmまでの距離感です。ビジネスシーンでは通常はこの距離が基準となります。
公衆距離
相手の表情を知ることが難しい距離で、3m50cm以上の距離です。講習などの講師との距離といえます。個人対応するには難しい距離です。
個人により多少の感覚の違いはありますが、上記の4つの区分がパーソナルスペースを考える際の一般的な基準になりますので認識しておきましょう。
仕事関係者との適切距離とは
仕事関係者とは通常は社会距離をとっておけば「距離が近い」といわれることはないでしょう。同性の同僚で親しければ個人距離でも許容されるでしょう。しかし、いくら親しいからといって異性の仕事関係者に個人距離をとるのはリスクがあります。まして密接距離は論外です。
また、職場で密接距離をとることは、相手が嫌がらなくても環境型セクハラに該当する可能性がありますので注意しましょう。
「距離が近い」と感じたら
距離が近いと感じているけれど言い出せないと悩んでいる人もいるかもせれません。そんな時は、その相手がパーソナルスペースのどこの区分に当たるか考えてみましょう。
自分が過敏なこともあるかもしれませんし、明らかにアウトなこともあるでしょう。アウトの時は、私の経験では、だいたい周囲も「距離が近い人」と思っています。性的な意味や他意はないから仕方ない、と頑張らなくてもよいのではないでしょうか。
人事としてはハラスメントの芽は種のうちに摘みたいというのが本音です。本気で訴える前に早めに言ってもらえれば、無自覚な相手であれば自覚をしてもらうことで穏便に解決できる可能性があるからです。
まとめ
職場に他意はないけど距離の近い人というのはいます。パーソナルスペースは個人の感覚だから、となんとなく我慢している人もいるかもしれませんが、一定の基準はありますので知っておくとよいでしょう。
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