ブラック企業という言葉が定着して久しい昨今。ブラックでなくても会社の社員は一定の割合で退職します。
私が仕事を始めた20年ほど前は、退職の申し出は本人がするもので、病まれた場合などでもご家族が代理で申し出されるくらいでした。
最近は退職代行サービスが認知されてきて利用する人もいます。ひと昔前は代理人といえば弁護士やユニオンでしたが、民間の代行業者からの連絡もあります。
この記事では退職代行について、冷めた人事担当の目線でお話しします。
退職代行とは
退職代行は会社を辞めたい労働者の辞意を会社に代理で伝えるサービスです。辞意を伝えるだけではなく、退職のための各種手続きや有給休暇の扱い、未払い賃金についても会社の対応を聞いてくることがあります。
どこまで代行するかは、代理人の法的資格や退職を希望する労働者との契約によりケースバイケースでしょう。
退職代行を使って会社は辞められるのか?
会社を辞めたい労働者が一番気にするところは「退職代行を使って会社を無事に辞められるのか」という点だと思います。
人事担当としての経験から言えば、よほどのブラック企業でなければ退職できる可能性が高いでしょう。
そもそも退職代行サービスから会社に連絡がくることは多くありません。連絡がきたら、なぜ退職代行に依頼する事態になっているのか、人事部が所属部署に事実確認をするのが一般的です。
たいていの会社は労働基準監督署の介入をさけたい、穏便に済ませたい、と考えています。法令順守をうたう企業であれば、労働基準法に違反するような労働時間やハラスメントなどが起きていないか調査して状況把握に動きます。
会社側が法令違反していないことが確認でき、退職を希望する社員に不法行為などなければ、「退職代行を使ってまで辞めたいのであれば、無理に引き留めても社内の風紀や他の社員のモチベーションへも影響するであろう。さまざまなことを考慮すれば、退職もいたしかたなし」という結論に落ち着くのではないでしょうか。
ただ、これは冷めた人事担当の目線です。所属部署にしてみれば、引継ぎもなく挨拶もなく辞める社員をよく思わないのは当然です。
淡々と退職手続きをすすめる人事にクレームがくることもありますが、人事としては法的に必要な各種手続きを滞らせることで、これ以上のトラブルに発展するのを避けたい思いもあるので、粛々と手続きをすすめていきます。
法的には会社に退職の意思を伝えれば、会社が認めるか否かに関係なく、2週間後には雇用関係は終了します。これは民法で認められている期間の定めのない労働契約を結んだ際の「退職の自由」です。
通常の会社の人事部は、法的なことを考慮して法に触れることのないよう予防線をはりながら対応していますので、退職代行サービスや代理人が辞意を伝えても会社の義務ははたします。
退職手続きや有給休暇、未払い賃金はどうなる?
人事部としては、前向きではありませんが、退職届も郵送で受け取りますし、健康保険証や貸与物の返却も郵送や宅急便で受け付けます。
離職票は自宅に郵送しますし、残業代を含む未払いの賃金や退職金も会社の規程通り支払います。
ただ、有給休暇については話し合いです。法律では退職時の買い取りを認めていますが、金額は労働者と会社との協議だからです。
また、退職日を超える有給休暇の使用や買い取りは、法律で定められていませんので対応しない会社もあるでしょう。
まとめ
会社を辞める人は円満退社ばかりではありません。どちらかというと寿や出産を除けば、円満退社の方が少ないと感じます。
退職に関係する細かな手続きやお金のことを、辞める会社と話し合うのを嫌だと思うこともあるでしょう。そもそも辞意を伝えても辞められるかあやしい・・・と思っている人もいるのではないでしょうか。
退職理由を聞いて社内調査すると辞めた社員が気の毒だという事例もあるようです。そういった人にとっては、退職代行や家族を含めた代理人が会社に辞意を伝えることは、苦渋の選択のひとつなのかもしれませんね。
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