【2024年版】法定福利費とは?人を雇うと発生する法定福利費について徹底解説!!

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人を雇う時にかかる経費は給与だけではありません。社会保険の会社負担分も発生します。それを法定福利費といいます。

筆者もバックオフィス業務に従事するまでは、法定福利費という言葉も、人を雇うと給与以外にかかるお金について知りませんでした。

法定福利費について詳しく知った今では「人を雇うとお金がかかるんだな~」というのが正直な感想です。 この記事では法定福利費について詳しく解説します。個人事業主やフリーランス、事業拡大を検討する会社の方は人を雇う時の参考にしてください!

法定福利費とは

法定福利費とは従業員が加入する社会保険などの会社負担分です。従業員には社員やパート・アルバイトなどが該当します。

会社と従業員が折半で保険料を負担する「健康保険料」「介護保険料」「厚生年金保険料」

定められた割合で会社と従業員が保険料を負担する「雇用保険」

保険料の全額を会社が負担する「労災保険」「子ども・子育て拠出金」

このように、社会保険は保険の種類により会社と従業員の保険料の負担割合がちがいます。それぞれの保険の会社負担の割合の合計を社会保険料率といいます。

2024年の社会保険料率

法定福利費は社会保険の保険料率によりかわります。仮に同じ給与でも保険料率がかわれば、法定福利費はかわってきますので注意が必要です。

社会保険の種類によって保険料率の改定時期はちがいますが、2024年4月からの会社負担の保険料率は次の図の額となります。(表は「協会けんぽ」の健康保険に加入している場合)

なぜ、この金額になるのでしょうか。例にあげた3つの都道府県で合計の率が違うことに疑問に感じる方もいるでしょう。

項目番号順に詳しくご説明します。

健康保険料

協会けんぽの健康保険に加入している場合の率は都道府県ごとに保険料率がちがいます。毎年4月に見直しします。現在は、どの都道府県も10%前後です。

保険料は会社と社員が半額ずつ負担しますので、会社負担は5%前後です。

組合健保とよばれる職域の健康保険組合に加入することもできます。組合健保は保険組合が独自に保険料を設定しています。

介護保険料

介護保険料は40歳以上65歳未満が負担します。健康保険料とちがい都道府県によるちがいはありません。2024年4月からは全国一律16/1,000となります。

保険料は会社と社員が半額ずつ負担しますので、会社負担は8/1,000です。0.8%ですね。

国の制度のため選択して加入するものではありません。働いている場合は健康保険料と同時に徴収されます。

厚生年金保険料

全国一律の183/1,000の保険料率です。保険料は会社と社員が半額ずつ負担しますので会社負担は91.5/1,000です。

子ども・子育て拠出金

子ども・子育てのための拠出金です。保険料率は2020年から3.6/1,000です。保険料は会社が全額負担します。

雇用保険料

雇用保険は事業の業種により保険料率がちがいます。一般の事業・農林水産の事業・建設の事業に分けられ、一般の事業は15.5/1,000、農林水産の事業は17.5/1,000、建設の事業は18.5/1,000です。

保険料は会社と従業員が負担しますが、負担率は会社と従業員でちがいます。労使折半ではありません。

一般の事業は会社9.5/1,000:従業員6/1,000です。農林水産の事業会社7/1,000:従業員10.5/1,000、建設の事業は会社7/1,000:従業員11.5/1,000です。

労災保険

労働保険料は全額会社が負担します。保険料率は労災の発生しやすさなどを考慮して決められています。細かな業種区分ごとに保険料率がちがいますが、一般的な小売業や飲食業などは3/1,000です。

2024年4月から一部の業種で保険率が見直されており、ビルメンテナンス業は5.5/1,000→6/1,000となっています。
労災保険率表で該当する事業の種類を確認しておくとよいでしょう。

労災保険は事業の種類に応じた率に、アスベストが原因で発病する中皮腫の拠出金0.2/1,000が加わります。

厚生労働省が発表している「2024年度労災保険率表」はこちらから

法定福利費の具体的な計算

法定福利費として会社が負担するものを詳しく説明しました。実際に会社が負担する法定福利費は項目により保険料率をかける、もととなる金額がちがいます。

1~3の項目は給与の支給額ではなく「標準報酬月額という毎月の保険料や保険給付の計算に使う金額に保険料率をかけて保険料を算出します。

4~6の項目は給与の支払額に保険料率(労災保険は保険率)をかけて保険料を計算します。

仮に月給20万の給与で人を雇った場合の法定福利費を計算してみましょう。(月給20万は標準報酬月額も20万です)

東京:月給200,000×16.552%=33,104 → 12ケ月では397,248円

大阪:月給200,000×16.732%=33,464 → 12ケ月では401,568円

愛知:月給200,000×16.572%=33,144 → 12ケ月では397,728円

例にあげた東京・大阪・名古屋では大阪のみ40万を超えました。これは健康保険料率のちがいによるものです。

都道府県により差はありますが、法定福利費の年間額は約40万です。給与だけで計算していますので、賞与を加えればもっと増えます。

人を一人雇うと給与以外に40万・・・高額で驚いた方もいるのではないでしょうか。

まとめ

法定福利費は人を雇うと負担しなければならない社会保険料の会社負担額です。社会保険の構造を詳しく知らないと、いくらかかるか解かりにくい費用です。

給与の支払額の16%~17%だと覚えておきましょう。

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