確定申告前にチェック!個人事業主の交通費の処理方法を解説~法人であれば領収証なしで経費にする方法もあります!~

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個人事業主の方は確定申告の準備を始める時期でしょう。移動の多い人にとって交通費の処理はめんどうなものです。

この記事では確定申告で認められるための交通費の処理方法と、精算の手間をはぶく方法を紹介します。また、法人であれば領収書なしで経費にする方法もあります。確定申告前にチェックしましょう!

個人事業主が経費にできる交通費

個人事業主が経費にできる交通費は「事業のために使ったもの」です。経費として認められる判断基準は「事業のため」です。私用で使ったものは認められません。

客先への手土産を買いに寄り道する交通費は経費として認められますが、客先の訪問を終えて、私用のショッピングに行く場合は、客先到着以降の交通費は経費と認められませんので注意しましょう。

事業用として認められる交通費は次のようなものです。領収書があれば保管しておきましょう。

・電車、地下鉄、バスなどの公共交通機関
・有料道路の通行料
・高速料金
・新幹線
・航空券代
・フェリーなどの船賃

領収書のない交通費はどうする?

電車、地下鉄、バスなどの公共交通機関の料金は交通費として認められますが、ほとんどは領収書がありません。券売機で領収書発行を忘れてしますこともあるでしょう。

このような場合はエクセルなどで作成した伝票やノートなどに旅費交通費一覧表を作成して保管しましょう。作成するときは次の項目を記載するように注意しましょう。

・支払日
・交通機関名
・利用区間
・金額
・訪問先
・訪問目的

遠方への出張で移動手段により交通費がちがう場合は、乗り継ぎ検索サイトを印刷して添付しておけば金額の証明となります。どのルートを使ったかと金額がわかれば十分でしょう。

ICカードを利用している場合の交通費の処理

公共交通機関で移動することの多い方は交通費のスイカなどのICカードで精算することも多いでしょう。ICカードは最初から事業用と私用で使うカードに分けておくと手間がはぶけます。

最近はICカードの使用履歴を取り込める会計ソフトもあります。ICカードの履歴を取り込めれば、精算伝票を起票したり、使用実績をノートにつけるなどの手間が省略できます。

ICカードの使用履歴が事業用と私用で使用したものが混在しているとチェックしなければいけません。余分な時間がかかりますし、事業用で使ったことを証明する事態になったときに営業日誌や出張費報告などと照らし合わせなければいけないので避けたいところです。

仕事の客先から、私用の買い物にでる場合などもカードを使い分けることで手間なく処理がすすみます。経費処理が簡単になりますので検討してみるのもよいでしょう。

ICカードにチャージしただけでは経費にできないので注意

ICカードは便利ですが気をつけねばならないことがあります。お金をICカードにチャージした時点では、まだ交通費として使用していないので、経費にすることはできません。使った時点で経費と認識するためです。確定申告時点でチャージの残高は経費にはできませんので覚えておきましょう。

ICカードにお金をチャージして使う場合は、使用額を集計して経費処理する手間が発生します。使用する都度、経費となった額を集計していきます。毎回の処理が手間なら、週や月単位で集計しましょう。月をまたぐことのないように注意すれば問題ありません。

会計ソフトに使用履歴を取り込み自動で経費処理している場合は集計の手間は発生しません。ソフトを活用することで事務負担が減り、便利ですので導入を検討するのもよいでしょう。

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全線定期を活用する場合の処理

地下鉄を日々使って移動している方などは全線定期を利用した方がお得なことがあります。1カ月の全線定期は購入時に一度経費処理すれば精算処理が完了します。

私用の利用を疑われないために使用履歴のデータを保管して、訪問した客先と目的をわかるようにしておけば問題ないでしょう。都内や市内などある程度のエリアに客先が集中していて、公共交通機関の利用の多い方は検討してもよいのではないでしょうか。

ただし、単月ではなく6カ月などの複数月の全線定期を購入した場合に会計年度をまたぐと、前払い費用として処理する必要がありますので注意しましょう。

たとえば、個人事業主の交通費がその年の経費として認められるためには(1)~(3)のような要件がありますので都度判断しましょう。
(1)12月31日までに債務が成立していること
(2)12月31日までにその債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること
(3)12月31日までに金額が合理的に算定できること

経費の基準は国税庁サイトの「やさしい必要経費の知識」で確認できますので参考にしてください。

ETCカードを利用した場合の処理

有料道路や高速道路を使った場合にその場で料金を払えば精算できますが、ETCを使うと料金は後払いです。経費は使用した時点で認められることから、引落前のETC使用料も経費にすることができます。

ETCは割引があるので請求明細がくるまで正しい金額がわからないこともあるでしょう。その場合は請求明細がきた時点で経費として処理すればよいでしょう。カードの引落前でも、使用日やルート、料金の根拠があり使用実績が確認できるからです。

法人の交通費は規程で定めることで固定支給が認められる

交通費の精算を簡単にする方法に固定支給があります。常識の範囲内であれば、会社が規程で定めれば交通費や出張の宿泊費を実費精算ではなく、規程で定めた固定額で精算できるのです。

定める金額は一律でなくてもかまいません。たとえば宿泊費は地域によって相場がちがいます。それを考慮して「関東地区:15,000円、関西地区:12,000円、中部地区:10,000、その他の地区:8.000円」と定めることも可能です。

交通費も同じです。飛行機・新幹線・電車など複数ルートがある場合、一番高額な飛行機の料金を参考に「A支店への出張交通費は一律往復50,000円」と定めて支給することも可能です。ただ、一番安いルートで長時間移動になるような場合は、社員が他のルートを使い持ち出す前提の定めは問題になることがあります。

また、規程で固定支給額を定めたからといって実費精算がダメなわけではありません。規程の金額を超えたときは領収証を添付して実費精算すると定めておけばよいのです。

この「規程で固定額を精算する方法」は法人のみ可能です。個人事業主は規程で定めても経費として認められません。個人事業主の交通費や宿泊費は実費精算したもののみ経費とできますので覚えておきましょう。

まとめ

交通費や出張費の精算業務が負担だという言葉を聞くことがあります。会計ソフトやICカードの履歴取り込み機能をうまく使って事務処理負担の軽減をはかっていきましょう。

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