賞与の時期です。賞与をもらってから退職を考えている人もいるでしょう。賞与の支給月に退職する場合、退職日によって賞与から健康保険料と厚生年金保険料が引かれる人と、引かれない人に分かれます。
人事にいると賞与月に退職した人同士が親しくて社会保険料がなぜ自分は引かれているのか、と問い合わせがくることがあります。
この記事では、給与計算の担当目線で賞与月に退職する人の社会保険料について詳しく説明します。
退職する人で、賞与から引かれる社会保険料のことまで考えて退職日を決める人は少ないでしょうが、賞与は通常の給与より高額なため社会保険料も多いので知っておくとよいでしょう。
社会保険料の徴収の仕組み
賞与にかかる健康保険料と厚生年金保険料はその月の末日時点で加入しているかが基準です。そのため、退職日によって賞与から引かれる額がかわってきます。
12月10日に支給される賞与を例にすると次のようになります。
退職日12月20日の場合:末日に社会保険に加入していないので賞与から引かれる額はゼロ
退職日12月25日の場合:末日に社会保険に加入していないので賞与から引かれる額はゼロ
退職日12月31日の場合:末日に社会保険に加入しているので賞与から保険料が引かれます。
賞与支給月に退職する場合の社会保険料
退職日が末日の場合に引かれる保険料について確認しましょう。
引かれる額は賞与額の1,000円未満を切り捨てた額(標準賞与額といいます)に保険料率をかけた額となります。
健康保険料の計算
健康保険は都道府県別の「けんぽ協会」や「健康保険組合」ごとに決まっています。けんぽ協会を例にご説明しますと、保険料は会社と従業員が50%ずつ負担するので、給与から引かれるのは標準賞与額に保険料率の50%をかけた額です。標準賞与額の上限は、毎年4月1日から翌年3月31日までの累計賞与額が573万円を上限としています。
下の図は「けんぽ協会」の全国の保険料率一覧です。都道府県ごとに差があるのがわかります。確認する際は、住所地の都道府県ではなく、健康保険証に記載されている「○○支部」となっている都道府県の率を確認してください。本社が住所地とちがう場合は、本社が届出している都道府県の率を使うためです。
こちらから全国の道府県別の保険料率が確認できます。
健康保険組合は個別に保険料率が定められています。手元の健康保険証に「○○健康保険組合」と記載されていれば組合サイトなどで確認してください。
厚生年金保険料の計算
厚生年金保険料は全国一律で、会社と従業員が50%ずつ負担するので、給与から引かれるのは標準賞与額に「9.150%」をかけた額です。標準賞与額の上限は1カ月あたり150万円です。超えた場合は150万で計算します。
賞与の対象となるものを再確認
賞与として社会保険料がかかるのは額面金額だけではありません。賞与の一部を現物給付する場合はその現物給付にも保険料がかかりますので覚えておきましょう。
賞与となるもの
賃金、給料、俸給、賞与等の名称を問わず、労働者が労働の対償として受けるもののうち年3回以下の回数で支給されるものです。
具体的には、賞与(役員賞与を含む)、ボーナス、期末手当、年末手当、夏(冬)季手当、越年手当、勤勉手当、繁忙手当、もち代、年末一時金、現物給付の自社製品(金銭に換算して支給額を算定)など定期的でなく一時的に支給されるものが該当します
賞与にならないもの
賃金、給料、俸給、賞与等の名称を問わず、労働者が労働の対償として受けるもののうち、年4回以上支給されるもの
また、労働の対価でないものも対象外です。具体的に、災害見舞金、大入袋、結婚祝金や出産祝金、お香典、弔慰金などが該当します
まとめ
賞与をもらってから退職しようと考える人は結構います。退職日をなんとなく決めているかもしれませんが、賞与から引かれる社会保険料がかわってきますので慎重に考えた方がよいでしょう。
また、賞与から社会保険料を引いたあとに月末日以前に退職した場合は、引いた保険料を返すルールです。社会保険料の額は年末調整にも影響しますので注意しておきましょう。
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