残業の割増は働いた時間や日によってちがう!残業の時間単価の計算方法から残業の割増率まで徹底解説!!

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会社は社員が残業すると通常の時間単価に割増して残業代を払います。給与計算を担当していると「残業代へんじゃないですか?」という問い合わせがくることがあります。

お金のことなので相手は真剣です。残業代が払われないといって労働基準署に相談されても大変なので丁寧にご理解いただけるまで説明します。

給与計算を担当していて同じような質問を受けたけことのある方もいるのではないでしょうか。

給与計算ソフトを使っていると、残業代は正しい割増率で自動計算してくるので、説明を求められても困るという方もいるのではないでしょうか。

この記事では残業代の考え方や割増率、残業の基礎となる時間単価の計算方法について詳しく解説します。

残業とは正しくは時間外労働のこと

残業とは正しくは「時間外労働」のことで、会社で定められた労働時間以外の時間に働くことです。

会社は労働時間を労働基準法で定められた1日8時間、週40時間以内に設定しているはずです。それを超えて働いた時間が時間外労働ということです。

人事など専門の人でないと「時間外労働」という言葉はなじみがないかもしれませんね。

ここでは残業として説明をすすめていきます。

残業の考え方

会社は就業規則や会社カレンダーで労働日と終業時間を定めています。その日や時間以外に労働すると残業となります。

社員の基本給などは会社が定めた時間働いた時の給与です。そのため、残業した時間については別途残業代として支払うルールです。それば残業代です。

残業の割増の率

残業の割増は25%と思っている方もいると思いますが、割増は残業した時間や日によりちがいます。詳しくみていきましょう。

通常の残業は25%割増

通常の残業といわれる1日8時間を超えて労働した時間は25%の割増です。就業時間を超えて働いた場合だけでなく、始業時間前に働いた場合も残業として25%割増となります。

月60時間以上の残業は50%割増

残業の累計が月60時間を超えると50%の割増です。例えば月の残業が65時間なら5時間分が該当します。

今までは中小企業は25%割増でよかったのですが、2023年4月から会社規模に関係なく50%割増となります。

深夜時間帯は50%割増

労働基準法で定められた深夜時間帯である22時から翌5時までの間に労働した時間は50%割増です。宿直手当などが設定されている場合は、そちらに含まれていることもあります。

所定休日は25%割増

週休2日の会社が定めた週2日目の休日(会社が定めた休日で所定休日といいます)に休日労働した場合も25%割増です。振替休日をとった場合は25%の割増分だけ支払われます。

法定休日は35%割増

労働基準法で定めされた、1週間に1日、または4週間を通じて4日以上の休日のことを法定休日といい、休日労働すると35%割増です。振替休日をとった場合は35%の割増分だけ支払われます。

月60時間を超えて残業をした場合の割増率の判定は複雑です。次の図は厚生労働省の資料ですが、60時間を超えたあとの休日出勤の割増率がポイントです。

間違えやすい部分なので確認しておくとよいでしょう。

出典:厚生労働省|月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます

割増のない残業もある

割増についてお話してきましたが、割増のつかない残業もあります。それを法定内残業といいます。

難しい言葉ですが、簡単にいうと法律で定められた1日8時間、週40時間以内の残業です。

パートやアルバイトなどの1日の労働時間が8時間未満の人が該当する可能性があります。

例えば、1日6時間の契約で働いているとパートが残業して9時間働いたとします。

その場合の割増は
① 6時間から8時間の2時間は1日8時間以内のため割増なし
② 8時間から9時間の1時間は1日8時間を超えたため25%割増

となります。

ただし、①は就業規則や雇用契約書で「契約時間を超えた労働時間は割増賃金を支払う」としていれば、割増しなければなりません。

また、深夜時間帯の割増は必要ですので注意しましょう。

残業の時間単価の計算方法

残業代は、その社員の時間単価にプラスして割増を支払います。そのため、計算するには基本給などの基準内賃金から時間単価を計算することからはじめます。

基準内賃金とは残業や休日出勤、欠勤などに使う時間単価を計算する際につかうもので、就業規則で定められています。

例えば、基準内賃金の項目が基本給・役職手当であれば、
(基本給+役職手当)÷(年間の労働日数×1日の労働時間÷12ケ月)
で時間単価を計算します。

一年間の労働時間を12ケ月で割るのは月により時間単価を変動させないためです。

5時間残業しても、月により残業代がかわったらおかしいですよね。社員からの問い合わせもたくさんきて大変です。

残業代の計算方法の実例

残業の割増と時間単価の計算方法をご説明しましたので実際に残業代を計算してみましょう。

社員Aが25%割増残業10時間した場合
社員Aの給与情報:月給280,000円、役職手当20,000円
会社の労働時間:年間労働日数240日、1日の労働時間8時間

① 時間単価を計算する
(基本給280,000+役職手当20,000)÷(年間の労働日数:240日×1日の労働時間:8時間÷12ケ月)=1,875
社員Aの時給単価は1,875円です。

② 時間単価に25%の割増率をかけて10時間分の残業代を計算する
時間単価:1,875×(通常の時給100%+割増25%)×10時間=1,875×1.25×10≒23,437.5
小数点以下は切り上げて23,437円が残業代です。

このように残業代は計算します。

端数の処理は社員の不利益にならないように小数点以下は切り上げが一般的です。

まとめ

残業代の割増には細かなルールがあります。手計算している会社は少ないと思いますが、問い合わせがあったときに答えられるように計算方法をしっておくとよいでしょう。

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