手形にQRコードが印字されるようになったことを知っていますか?
2022年に手形の電子交換所が設立されたと同時にQRコードが手形に印字されるようになりました。
客先から受け取った手形は金融機関に持ち込み、取立して初めて現金となります。
取立とは、手形交換所を経由して手形額面が相手の口座から引き落とされ、自社の口座に入金することです。
今までの手形交換所では取立の過程で手形が金融機関間を移動していました。電子交換所の設立で手形の実物を動かすことなくデータのやり取りで取立処理がされるようになったのです。
電子交換所が設立された背景と変わったこと、手形・小切手のチェックポイントを詳しく解説します。
電子交換所とは
全国銀行協会によって2022年11月4日に電子データで手形の交換を行う電子交換所が設立されました。
日本は政府と金融業界、産業界が一体となって、手形・小切手の完全電子化を2026年度末までに目指しています。
電子交換所設立により、今まで全国にあった金融機関間の手形交換所は電子化されました。
電子化により、手形交換にかかっていた人手をはぶき、今後減少していく手形や小切手の処理の効率化がはかられます。
手形にQRコードが印字される
電子交換所が発足したことで手形にQRコードが印字されるようになりました。当面は手元にあるQRコードのない手形帳も利用できますが、順次切り替えがすすめられています。
筆者の実務でも、最近、ちらほらとQRコード付きの手形をみるようになりました。
先日は営業から「手形にQRコードが印字されてるけど、、、この手形大丈夫?」と確認の電話を受けました。
手形にQRコードが印字されていることを経理部門は知っていますが、手形を集金する営業に伝えていなかったからです。
経理として配慮が足りなかったと反省しました。
手形にQRコードが印字されるようになったことは営業部門にも周知しておくとよいでしょう。
手形を受け取った際にチェックするポイント
電子交換所で手形を処理するために、今までよかったけれども、禁止された事項があります。
手形を受け取った際には、従来のあて名や印紙、捺印などの確認に加えて、(1)から(6)のことをチェックするようにしましょう。
(1)金額が訂正されていないか
(2)金額の複記がないか
(3)金額欄に捺印されていないか
(4)金額以外の記入事項を訂正される場合は訂正個所に捺印されているか
(5)訂正の記入や捺印は金額欄・銀行名・QRコード欄に重なっていないか
(6)券面の余白にメモ書きなどないか
手形を振出すときの注意点
電子交換所の設立後は金融機関から購入する手形帳にはQRコードが印字されています。手形を振出すときの注意点を確認しておきます。
金額欄の記入方法
・金額欄が算用数字の場合はアラビア数字でチェックライターを使用する
・金額の頭には「¥」を、その終わりには「※」や「★」などの終止符号を印字する
・3桁ごとに「, カンマ」を印字する
・金額欄を文字で記入する場合は文字の間をつめ、「電子交換所」で読み取り可能な漢数字一覧表に記載の漢数字のみを使用する
・金額の頭には「金」を、その終わりには「円」を記入する
・金額は楷書で丁寧に記入し崩し字は使用しない
訂正やその他
・金額を誤った場合は、訂正をせず新しい用紙を使う
・金額以外の記載事項を訂正は、訂正個所にお届け印を捺印する
・訂正の記載や捺印が、金額欄・銀行名・QRコードに重ならないようにする
・金額欄には捺印しない
・金額欄に数字と文字で金額を二重に記入するなど複記がないようにする
電子交換所ではデータでやり取りするため、券面情報が正しく読み取れなければなりません。手形や小切手を使い支払いしている場合は気を付けましょう。
取引先が手形から電子記録債権などにかわったら
近年は電子手形や電子記録債権への移行がすすんでいます。まだ手形も流通していますが、電子交換所設立で手形から切り替えを検討する企業が増えるでしょう。
筆者の実務でも、年々手形から「電子記録債権」や「でんさい」などの電子決済に切り替える客先が増えています。
手形を電子化すれば、省力化や管理コストの削減につながるとされているため切り替える企業も多いのです。
支払先が支払いを手形から電子記録債権などに切り替えすれば、受け取る債権者側も申し込み手続きが必要です。
今まで手形しか受け取っていない会社であれば、取引先だけでなく、事前に取引銀行への申し込みも必要です。
手続きを確認しておくとよいでしょう。
まとめ
経理分野では電子化がすすんでいます。手形に慣れていると電子記録債権などへの切り替えは大変かもしれませんが、2026年に完全電子化という期限もあります。切り替えは早めの方がよいでしょう。
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